韓人の衣染むといふ (大納言に任ぜられた大伴旅人への太宰府での送別の歌) 麻田連陽春
韓人の 衣染むといふ 紫の情に染みて 思ほゆるかも
大和辺に 君が立つ日の近づけば 野にたつ鹿も とよめてぞ鳴く
【歌の訳】
韓人が衣を染めるという、紫の色のように、あなたのことが心にしみるように懐かしく思わます(No.569)。大和へとあなたが出発される日が近づいたので、別れをしのんで、野に立つ鹿までもあたりに声を響かせて鳴いています(No.570)。
【解説】 旅たちの歌 これも旅立ちの歌です。紫の色のように、あなたのことが心にしみるように懐かしく思われますと歌っています。紫染めの衣服は昔、高貴な人の身につける色でした。その昔、エーゲ海やペルーから紫貝で染色する技法が伝わったようですが、量産が難しく、九州でとれる植物の紫を用いる染色が主流になり、紫は租税としてもおさめられました。
A Purple Farewell Song
Farewell poems to Otomo-no-Tabito by a Official of Dazaifu, Asada-no-Muraji-Yasu
Like purple color
Said to tincture the dresses
Of Kara* people,
You tincture my heart purple,
So I ever remember you. (No 569)
*(Korea or China in olden days)
The day you depart
For the Province of Yamato
Is now drawing near,
And the deer in the plain yonder
Are belling very loudly. (No 570)
Reference Book for English Translation
“The Man’yo-syu Complete English Translation in 5-7 Rhythm” Published by
Kanda Institute of Foreign Languages / Kanda University of International studies
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